私は真面目な研究者でもなんでもなく、ただのジェイン・オースティンのファンなのですが、興味があったので6月29日神戸女子大学で開催された日本オースティン協会第13回大会に参加して参りました。
日本オースティン協会(The Jane Austen Society of Japan)は、かねてからの若手の研究会を母体として、2006年6月24日に明治学院大学で創立準備大会をもち、同日正式に発足しました。初代会長は海老根 宏、運営委員長 塩谷清人、事務局長 向井秀忠の各氏が選ばれました。その後、年一度の全国大会を中心に活動を続け、2014年は福岡市の西南学院大学で第8回大会を開催しました。
学会誌として『ジェイン・オースティン研究』(The Journal of the Jane Austen Society of Japan)を毎年刊行し、その論文は査読を経たものが掲載されます。
本会はジェイン・オースティンを中心として、その時代の文学、思想、芸術など、幅広い研究・資料収集の情報交換、さらには若手への啓蒙活動も行っています。
日本オースティン協会 より
私はオースティン協会の会員ではないので、当日会員で会場へ。本当は本会員になりたいのだけれど、今回はたまたま関西開催で参加できただけで、関東で開催だと参加できないし、あまりアクティブでいられない気がして様子見。
受付を済ませ、会報とレジュメを受けとり席に座ります。
大学の講義室なんて久しぶりで、わくわくしながら大学時代と同じように右端の前の方の席を確保。
続々と人が集まってきますが、噂に聞いていた通り会員の皆様方ばかりで「◯◯先生」という言葉が飛び交いアウェイ感に押しつぶされながらも「いえ、私は研究者」という顔でレジュメをひたすらにらめつけていました。
開会の辞は会長の久守先生。今年は関西開催のため、集まった先生方もやはり関西中心とのこと。私の大学時代のゼミ教授も参加しておられました。
ちなみに日本オースティン協会は10周年の際に書籍を出版されていて、私は大学時代とてもこの本にお世話になりお気に入りです。
ジェイン・オースティン研究の今: 同時代のテクストも視野に入れて
- 作者: 日本オースティン協会
- 出版社/メーカー: 彩流社
- 発売日: 2017/05/08
- メディア: 単行本
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会場にはこの本に寄稿された先生方が集まっておられて会場にいるだけでドキドキでした。
午前の部は研究発表から。
「『エマ』と『教授』に見られる主人公の〈〉 ———ジェイン・オースティンとシャーロット・ブロンテとの描写比較」ということで安田女子大学の岡本先生の発表です。
休憩と総会を挟んだ午後の部はシンポジウムから始まります。「オースティン流の処世術———生き方、書き方」をテーマに4人の先生方の発表が続きます。
まず1人目は神戸大学の土平先生。
次に、神戸大学の中村先生。個人的にはこのお話が1番興味深く、おもしろかったです。
タイトルは『Jane Austen と Hannah Cowley における「コケにされた男の正しいコケ方」』!
タイトルだけで会場から笑いが。「コケにされた男の正しいコケ方」は樹木希林さんの言葉なんだそう。
次に、関西外語大の馬渕先生。
意図的に削除されたFannyの感情・台詞について述べておられました。そういえば、Pride and Prejudiceにおいても同じようなことがあって、ジェインとビングリーの会話がないんだけど、どういうことがあっただとかは全部わかるんです。オースティンなりの省略方なのでしょう。
さまざまな講義やシンポジウムを挟んで最後は特別講義。滋賀大名誉教授の岩上先生による講義です。タイトルは「ジェイン・オースティンは世界文学たりうるか? 」 。なんと大きなタイトルをつけてしまったんでしょう、ちゃんと閉められるかしら、なんておっしゃりながらも軽妙な語り口で、会を締めくくりられました。
素人の感想で申し訳ないけど、本当に素晴らしいですね…すべてが…。
偶然にも、大学の時の恩師に遭遇し、会話を愉しんだり、と刺激的な1日を過ごせました。また機会があったら行きたいな。
追記:レジュメはHPでも公開されていました!
http://www.jane-austen.info/13th-General-Meeting-Programme.pdf